フォルクスワーゲンの「ビートル」は、長い歴史を持つ車です。いわゆる「タイプ1」と呼ばれる初代ビートルは、1930年代に開発され、1945年~2003年まで市販モデルが生産されました。2代目のニュービートルのモデルライフは1998年~2011年までで、3代目のザ・ビートルは2011年から生産が始まっています。
ニュービートル以降のビートルがだいぶ違う車に思える方も多いのではないでしょうか。しかし、タイプ1ビートルから50年以上が経ってモデルチェンジしたため、それは当然のことです。ここでは、なぜビートルはモデルチェンジ後も長年愛されているのか、その特別さと歴史についてご紹介いたします。
フォルクスワーゲン ビートルはなぜ特別なのか
フォルクスワーゲンのビートルは、車好きの人だけでなく、多くの人に広く知られている特別な車です。世界記録となる2150万台生産され、開発から生産中止までの間、70年近くも世界中の人々から愛されてきました。
人気の理由は様々ですが、デザインにも人気になった要素があります。人気の車であるフィアット500も、ビートルと同じ空冷リアエンジンでユニークなデザインですが、ビートルはさらに極めつけのデザインだったといえます。
空気抵抗を減らすために開発当時最新方式だった流線型デザインを採用し、なおかつスペース効率を最大限追求したのです。工学的に性能を追求したデザインでありながら、徹底した開発によって子供でも覚えられるような味わいのある丸いボディーが完成しました。
そして、モデルチェンジ後のニュービートルもザ・ビートルも、フォルクスワーゲンの原点回帰としてつくられた面があるといえます。フォルクスワーゲンにとってビートルはまさに自社をつくり上げた母体そのもので、ビートル=フォルクスワーゲンともいえる存在なのです。そのため、ビートルの復活はフォルクスワーゲン社にとってとても重要なことで、何事にも失敗が許されない車種だといえます。
ニュービートルをつくる際も、ザ・ビートルをつくる際も、ブランドの哲学やヒストリーを注意深く振り返ったといいます。それほどまでに、ビートルはフォルクスワーゲンにとって特別な車なのです。
ビートルの誕生
フォルクスワーゲンは、自動車の進化が激しく進行していた時代に生まれました。フォルクスワーゲンとは、ドイツ語で「国民車」を意味しています。国民車は1930年代当時のヨーロッパではまだ実現されておらず、発展途上の段階でした。しかし、アメリカでは1908年に誕生したT型フォードが、1927年までの間に、記録破りの1500万台という大量生産を成し遂げたことで、大衆車は現実のものとなったのです。
ヨーロッパ各国もそれに刺激され、経済が豊かでないヨーロッパでも国民車となり得る軽量でコンパクトな車の実現を目指します。しかし、家族4人が乗れて、十分な動力性能を持った車を低価格で実現させるのは簡単なことではありませんでした。この要求に対してフォルクスワーゲンは、当時の自動車設計の最新技術を総合してまとめあげた車だといえます。
1920~1930年代当時のドイツは工業化の時代に頭角を現し、急成長していました。ドイツやその周辺の国では自動車に革新的な設計を採用する傾向が強まっており、後にフォルクスワーゲンにも採用される空冷水平対向エンジン、リアエンジン・レイアウト、バックボーン式シャシーフレーム、そして流線型ボディーなどがそれに当てはまります。
ポルシェ博士により小型車開発が追求され、ヒトラーから国民車の計画について打診があったこともあり、国家の後押しでより大規模な計画となっていきます。試作とテストを繰り返し国内で普及、戦後には量産を開始し、1948年には本格的に海外への輸出も開始しています。
流線型のデザイン、4人乗り、アウトバーンで100km/hで走れること、そしてそれを低価格で実現したビートルは、1960年代からは大量生産が実現し、ヨーロッパだけでなく、世界中で人気が広がっていくのです。
- 菊地保夫 VW MAGAZINE 2018 有限会社グランマガジン社 2018年9月20日発行
- 武田隆 フォルクスワーゲンビートル 三樹書房 2015年5月25日発行
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